車高調のカタログに出てくる「全長調整式」と「全ネジ式(ネジ式)」。 どちらも車高は下がりますが、下げたときに失うものが違います。
全ネジ式 — バネの座を下げる
ショック本体は固定で、バネを受けている皿(スプリングシート)を 下にずらすことで車高を下げます。
- 構造が単純で安い
- 下げるほどバネが縮む方向にプリロードが変わる
- ショックのストロークは変わらない。 車高が下がったぶん、 縮み側の余裕が減る
下げすぎると、段差でショックが底付きします。
全長調整式 — ショックのケース長を変える
ショックの下側(ブラケット)をねじって、ショック本体の全長そのものを 変えます。
- バネの縮み量を変えずに車高だけ下げられる
- ストロークを残したまま下げられる
- 構造が複雑で高い
何が違って現れるか
| 全ネジ式 | 全長調整式 | |
|---|---|---|
| 車高を下げたとき | ストロークが減る | ストロークを保てる |
| バネのプリロード | 車高と連動して変わる | 独立して決められる |
| 価格 | 安い | 高い |
| 底付きのしやすさ | しやすい | しにくい |
どちらを選ぶか
少し下げるだけなら全ネジ式で足ります。 しっかり下げたい、乗り心地も残したいなら全長調整式です。
「安い車高調を買って大きく下げる」のが、最も乗り心地を損なう組み合わせです。 下げ幅が大きいほど、全長調整式の価格差に意味が出ます。
| メーカー・代表製品 | 全ストローク長 | 1G接地時の残量(縮み側) | 特徴・設計思想 |
|---|---|---|---|
| HKS HIPERMAX S / IV GT | 約100mm〜110mm | 約50mm〜55mm | 伸び側と縮み側を「5:5」に近い理想的な比率で均等分配し、街乗りの突上げをいなす設計。 |
| TEIN FLEX Z | 約80mm〜100mm | 約20mm〜40mm | 低床化(車高を落とす)を重視。縮み側が少ない車種は、早期にバンプラバーに当てて衝撃を吸収させる設計。 |
| サーキット向けモデル (各社) | 約60mm〜80mm | 約30mm前後 | 高バネレート(10kg/mm以上など)を組み合わせるため、1Gでの沈み込みが少なく、残量が20〜30mmでも底付きしにくい。 |